2013年06月20日

死のクレバス−アンデス氷壁の遭難−

映画「運命をわけたザイル」の原作、死のクレバス。
登山家ジョー・シンプソンが書いた実話です。

親友サイモンとジョーは未踏のシウラ・グランデ西壁へ。初登頂を果たし帰路に。
ジョーは滑落し足を骨折。しかし降りないと帰れない、死ぬわけで。

急な壁のようなところをサイモンがザイルでジョーを下ろしてゆく。
骨折した足がぶつかり痛いが、急がなければ暗くなり天候も悪化する。
痛みをこらえながら降りるジョー、痛いのがわかっていながら急いで下ろすサイモン。

順調に二人で降りてゆくも再びジョーに悲劇が。滑落し宙吊りに。
なんとかしようとするも、ならず。上ではサイモンが必死にザイルで支えている。
しかしジョーがどうにもならない以上、このままでは二人滑落するハメに。
ついにサイモンに限界が訪れ、ザイルをナイフで切断する…

クレバスへ落ちてゆくジョー。死を覚悟するも運良く助かる。
ここからキャンプへ生還するまでの、ジョーの精神力・行動力が凄い。
右足は骨折し手は凍傷にかかっている中、滑落したクレバスを登る。

骨折した足が何かに触れる度に激痛に悩まされながら、何度も諦めようと思いながら
それでも必死に前へ進むジョーの姿は読んでいてとても痛々しい。

一方のサイモンはザイルを切断後、夜はそこで過ごし朝明るくなって下を見ると…
大きく口を開けたクレバス、ジョーはそこへ落ちただろう。
そこへ落ちたなら助からないだろう、サイモンの心の葛藤。

ジョーもサイモンも読んでいてとても苦しくなる。
二人とも傷つきながらも下山できた事、下山後のジョーとサイモンの会話に救われる。
正直、彼らが生還できていなかったらとてもじゃないけど読めなかったと思う。
遭難した本人が書いているだけあって臨場感にあふれているから。


前に書いた「狼は帰らず」の森田勝は若かりし頃「自分が生きる為ならザイルを切る」と言った。
しかし二度目のグランドジョラス。
滑落した瞬間は目撃されていないが日本人登山家が、森田勝を目撃している。

登山家が見た時森田のパートナーは見えず、そこまで難しいところでもないのに
森田は右往左往して、全然先へ進まなかった。
おかしいなと思いつつ彼らは森田から目を離した。
しばらくして彼らが先ほどのところへ視線をやると森田がいない。

先へ進んだのだろうと思ったそうだ。
その後彼らが登攀しようとしたところ、下の方に森田とパートナーが
アンザイレンした状態で倒れているのを発見する。

この状況からして彼らが森田を見ていた時、パートナーが見えなかった。
難しいところではなく森田なら難なく登れるところに時間がかかっていた事から
この時既にパートナーが滑落していたのではないだろうか。

そして森田は若かりし頃、自分が生き残る為にはザイルを切ると言った。
しかし彼はザイルを切らなかった為、二人ともに滑落したものと思われる。

ザイルを切るのか切らないのか。
どちらが正しいかなんて言えないが、切断した者も切断しなかった者もその勇気は凄い…


posted by yu-ko at 22:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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