前田慶次郎という前田利家の甥にあたる男のお話。
前田利家には兄、利久がおり本来荒子の城は嫡男である利久が継ぐ予定だった。
それが織田信長の鶴の一声で利家が継ぐ事になる。
慶次は利久の養子。滝川一益の子とも言われるが出生は不明。
滝川一族である事は確かなようだが。
傾奇者と言われる慶次、傾奇者とは歌舞伎の語源になっているようだが
簡単に言うと派手好きな変わった人。
慶次には残っている資料が少なく不明な事が多い人物であるから
しょうがないのかもしれない。が、色々検索してみるとこの人の作風のようだ。
史実に基づいた小説というよりはフィクション。
物語としては面白い。
が、この人は慶次が好きなんだろう。凄く良い人物に描かれている。
例えば慶次は敵が多く刺客を送りこまれたりするのだが、その命を
狙っていた人物に対しても慶次は優しいというか気にしないというか。
かなりな男気と肝の太さで命を狙っていたものまでが慶次に惚れ見方になっていく。
最初、慶次を嫌っていた三成も実際会ってみて惚れてしまったりと。
そういう事がかなり多い。そこまで万人に好かれるのか?という疑問が。
小説だからアレだけどなんだかちょっと違和感。
叔父である前田利家が凄くショボイ人物になっている。
肝が小さくしょうもない事を気にするような、加賀百万石の大名とは
思えない程のショボさ。更に大河で有名になった「利家とまつ」のまつ。
利家の妻なのだが、利家を愛してはいるが心の中で馬鹿にしているようなところがあり
糟糠の妻という感じがほとんどない。その上慶次と不倫までしている。
かなり利家とまつのイメージが崩れた。
とはいえ物語としてはテンポも良くサクサク進み平坦な感じではなく
起伏があり読みやすい。イベントじゃないけど、そういうのが所々に発生。
その為飽きる事なく読み進められる。物語にもひきこまれる。
私としては今までの慶次のイメージやその他の登場人物のイメージというものが
ある程度固定されているからか、面白いんだけどちょっとね。と思ってしまう。
そういうのがなければ、楽しめる作品だと思う。
ちなみに花の慶次とは結構違う感じらしい。
私が買ったのは右側の花の慶次バージョン。中身は同じ。
